国民生活センターが今年2月に発表したデータによると、全国の消費生活センターに寄せられるペット関連の相談件数は、近年ほぼ横ばい傾向にあります。その約半数を占めるのが生体に関する相談です。ビジネスを行う上で、クレームなどのトラブルは避けて通れないものかもしれません。個体ごとに個性があり、健康状態も異なる生きものを取り扱うペットビジネスではなおさらのことです。ですが、予防できるトラブルもあります。トラブルを回避するために大切なポイントとなるのが、重要事項の事前説明制度です。

“説明”だけではダメ

2013年に施行された改正・動物愛護管理法で、重要事項の説明に関連する規制が強められました。かねてから義務付けられていた書面の交付や説明確認サインに加え、売買の対象となる動物の現状を直接見せたうえ、対面で説明することも義務化されています。この「現物確認」「対面説明」「書面交付」「確認サイン」は、犬猫だけでなく、ほ乳類全般、鳥類、爬虫類を販売するときに義務付けられています。
これは、動物のことをよく知らないで飼い始めることが、不適切な飼養や飼育放棄につながっているという指摘から設けられた制度と言われています。そのため、説明の仕方だけでなく、18項目に及ぶ必須説明事項が定められています。
手間はかかりますが、この事前説明制度は、事業者からすれば事後のトラブル予防につながるものでもあります。事前説明を適切に行い、お客様にしっかり理解いただいてから購入するようにしましょう。
説明不足があると

契約解除になることも

重要事項の事前説明が大切なのは、もうひとつ理由があります。この重要事項について説明不足がある場合は、売買契約が解除される可能性もあるのです。
動物愛護管理法では、動物販売業者の責務として、この重要事項の説明は、お客様の理解度に応じて「理解されるために必要な方法及び程度により」丁寧に説明することが求められています。
「飼育できなくなったので返品したい」など、本来、応じる必要のない顧客都合の返品についても、「説明が理解できずに誤って購入した」「ちゃんと説明を受けていなかった」などと主張され、契約の取り消しや無効を求められ、返品に応じなければならないこともあるかもしれません。
説明書を渡していない、あるいは、確認サインをしていない、または現物を確認いただいていないなどは論外ですが、こうした一連の流れを一つひとつ丁寧に行うことが大切になってきます。トラブル予防という観点からも、重要事項の事前説明について、今一度ご確認ください。